原稿用紙を前に、鉛筆が止まったまま30分。「何を書けばいいか分からない」と言われても、こちらもどう教えていいか分からない――夏休みの宿題で、読書感想文がいちばん手強いという声はよく聞きます。
書けない原因は、たいてい1つです。「本の話」を書こうとしているから。読書感想文で求められているのは、あらすじではなく心が動いたことのほうです。ここが分かると、書くことは一気に減ります。使うのは、①心が動いた場面を1つだけ選ぶ ②「はじめ・なか・おわり」の3つの箱に分ける ③穴埋めテンプレートを埋める、この3つだけです。
この記事には、学年別の文字数の目安、そのまま使える穴埋めテンプレート、実際に埋めてみた例、書き出しの型5つ、字数が足りない時の増やし方までを用意しました。お子さんの隣で、上から順に一緒に埋めていくだけで骨組みができます。
書いているのは、AIタスク管理アプリ「するたす」を作っている藤岡です。「大きすぎて手がつかないことを、今日できる小さな一歩まで分ける」のが仕事なので、その視点から読書感想文の書き方を組み立て直しました。
夏休みの宿題全体の段取りは「夏休みの宿題が終わらない時の進め方」、自由研究のテーマで詰まっている場合は「自由研究のテーマが決まらない|3つの質問で今日決める選び方」も併せてご覧ください。
この記事で解決できること
- 学年ごとの文字数と、原稿用紙の枚数の目安が分かります
- 「はじめ・なか・おわり」の穴埋めテンプレートで、骨組みが30分でできます
- 実際に埋めた例を見ながら、自分の言葉に置き換えられます
- 書き出しが決まらない/字数が足りない、の対処法が分かります
- 子どもに何をどう聞けばいいか、声のかけ方の例が手に入ります
読書感想文が書けない一番の理由

すぐテンプレートを使いたい方は、2つ先の章まで読み飛ばしていただいて構いません。ただ、ここを1分読んでおくと、埋めるときに迷わなくなります。
求められているのは、あらすじではなく「心の動き」
「読書感想文を書きなさい」と言われた子が最初にすることは、たいてい本の内容を思い出すことです。そして「主人公は◯◯して、それから◯◯して……」と、あらすじを書き始める。ところが3行も書くと、もう書くことがなくなる。あらすじは本を読めば分かることなので、いくら詳しく書いてもその子にしか書けない部分がゼロだからです。
感想文で読まれているのは、そこではありません。「どこで、どんな気持ちになったか」「なぜそう思ったか」のほうです。ここは本を読んだだけでは書けない、その子だけの中身です。だから、あらすじは全体の2割もあれば十分。残りの8割は心の動きに使います。

手が止まる時に起きている3つのつまずき
- 本全体について書こうとしている:どこから書けばいいか決まらず、書き出せない
- 「おもしろかった」で終わってしまう:気持ちは書けたが、その先が続かない
- いいことを書こうとしている:立派な感想を書かなきゃ、と思って何も出てこない
3つ目は、お子さん本人も言葉にできていないことが多い部分です。「感想文=先生に見せる立派な文章」と思っていると、正直な気持ちが書けなくなります。ここは大人から先に伝えてあげてください。「つまらなかった」「主人公にイライラした」でも、ちゃんとした感想文になります。なぜそう思ったかが書いてあれば、それは立派な読書感想文です。
書く前に決めるのは「場面1つ」だけでいい
本を読み終えたら、聞くことは1つだけです。「いちばん心に残ったのはどの場面?」。ここで複数出てきても、1つに絞ってもらってください。場面を1つに決めた時点で、感想文の半分は終わっています。
「特にない」と言われたときは、聞き方を変えてみてください。「読んでてイヤだったところは?」「えっ、と思ったところは?」「自分だったらどうする、と思ったところは?」。心が動いた場面は、必ずしも感動した場面ではありません。
学年別・読書感想文の文字数と枚数の目安
まず、どれくらい書けばいいのかをはっきりさせます。文字数は、青少年読書感想文全国コンクールの応募規定(本文の字数上限)を基準にしています。学校からの指示がある場合は、必ずそちらを優先してください。
| 学年 | 文字数(上限) | 400字詰なら | 選ぶ場面 | 書く内容 |
|---|---|---|---|---|
| 小学1〜2年 | 800字以内 | 約2枚 | 1つ | 場面+気持ち+理由 |
| 小学3〜4年 | 1,200字以内 | 約3枚 | 1つ | 上記+自分の似た経験 |
| 小学5〜6年 | 1,200字以内 | 約3枚 | 1〜2つ | 上記+これからどうしたいか |
| 中学生・高校生 | 2,000字以内 | 約5枚 | 2つ | 上記+考えが変わった点 |
※文字数はコンクールの応募規定ですが、原稿用紙の枚数は400字詰めで換算した目安です(コンクール自体は用紙の大きさ・字詰めを指定していません)。「選ぶ場面」「書く内容」も規定ではなく、書きやすさから見た目安として挙げています。なお句読点は1字に数え、題名・学校名・氏名は字数に含めません。
学年が上がっても、場面を増やすより「1つの場面を深く書く」ほうが読みごたえが出ます。字数を埋めるために場面を3つ4つ並べると、かえって一つひとつが浅くなります。
「はじめ・なか・おわり」の3つの箱に分ける

構成は3つの箱だけです。学校で習う「はじめ・なか・おわり」と同じ考え方なので、お子さんにも説明しやすいはずです。
| 箱 | 割合 | 1,200字なら | 書くこと |
|---|---|---|---|
| はじめ | 2割 | 約240字 | 本を選んだ理由/心に残った場面の予告 |
| なか | 7割 | 約840字 | 場面の説明/その時の気持ち/なぜそう思ったか/自分の似た経験 |
| おわり | 1割 | 約120字 | この本から分かったこと/これからやってみたいこと |
迷いやすいのは「なか」が7割もあるという点です。感想文の大部分は1つの場面について語る部分だ、と先に伝えておくと、あらすじが長くなる失敗を防げます。原稿用紙にうすく鉛筆で線を引き、3つの箱の境目を先に作ってしまうのもおすすめです。どこまで書けばいいかが目で見えます。
そのまま使える読書感想文の穴埋めテンプレート
ここが本題です。次の空欄を口で答えてもらい、それをそのまま書き取ってください。いきなり原稿用紙に書かせず、まずメモ用紙で埋めるのがコツです。原稿用紙は「きれいに書かなきゃ」という気持ちが働いて、手が止まりやすくなります。
【はじめ】の穴埋め
- わたし(ぼく)は『____』という本を読みました。
- この本を選んだのは、____だからです。
- 読んでいて、いちばん心に残ったのは____の場面です。
【なか】の穴埋め(ここがいちばん長い)
- その場面では、____ということが起こります。(※3〜4行で十分)
- わたしはここを読んで、____という気持ちになりました。
- そう思ったのは、____だからです。
- じつは、わたしにも似たことがありました。____のときです。
- そのときのわたしは____でした。でも、この本を読んで____と思うようになりました。
【おわり】の穴埋め
- この本を読んで、____ということが分かりました。
- これからは、____してみたいと思います。
実際に埋めてみた例(『ごんぎつね』の場合)
言葉だけだと分かりにくいので、「なか」の部分を埋めた例を挙げます。教科書で読んだ子の多い『ごんぎつね』(新美南吉)を使っていますが、どんな本でも埋め方は同じです。
いちばん心に残ったのは、ごんが兵十にうたれてしまう場面です。ごんはずっと、こっそりくりや松たけを届けていました。でも兵十はそれを知らないまま、ごんをうってしまいます。
わたしはここを読んで、くやしい気持ちになりました。そう思ったのは、ごんがちゃんと言葉で伝えていれば、こんなことにはならなかったと思ったからです。
じつは、わたしにも似たことがありました。妹のかわりに部屋をかたづけたのに、お母さんに気づいてもらえなかったときです。そのときのわたしは、だまっているのがかっこいいと思っていました。でも、この本を読んで、伝えないと相手には一生わからないままなんだと思うようになりました。
これで約330字です。あらすじは最初の2行だけで、あとはすべて自分の話になっているのが分かると思います。この形になっていれば、字数は後からいくらでも増やせます。
なお、この例文はあくまで埋め方を見てもらうためのものです。そのまま書き写すと、お子さん自身の言葉ではなくなってしまいます。使うのは「型」だけにして、中身はお子さんの口から出てきた言葉に置き換えてください。
🎯 「読書感想文を書く」を、今日やる1つに分ける
- ✅ 「読書感想文を書く」と入れるだけ → 場面を選ぶ・メモを埋める・下書き、まで自動で分かれます
- ✅ 子どもが自分で選べる大きさに → 「今日はどれ?」と聞ける形になります
- ✅ 提出日から逆算 → 残りの日数への割りふりも一緒に出ます
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書き出しが決まらない時に使える5つの型
いちばん多い相談が「最初の一行が書けない」です。書き出しは、次の5つのどれかを選べば済みます。お子さんに5つを読み上げて、「どれがいい?」と選んでもらってください。
| 型 | 書き出しの例 | 向いている場合 |
|---|---|---|
| ①きっかけ型 | 「本屋さんで表紙を見て、なんだか気になったので読んでみました。」 | いちばん無難。迷ったらこれ |
| ②場面型 | 「ごんがうたれた場面を読んだとき、思わず本を閉じてしまいました。」 | 心に残った場面がはっきりしている |
| ③問いかけ型 | 「もし自分が主人公だったら、同じことができただろうか。」 | 自分に引きつけて考えた本 |
| ④気持ち型 | 「読み終わったあと、しばらく何も言えませんでした。」 | 強く心が動いた本 |
| ⑤くらべ型 | 「読む前と読んだあとで、わたしの考えは正反対になりました。」 | 考えが変わった本(高学年〜) |
ひとつ大事なことがあります。書き出しは、最後に書いてもかまいません。「なか」を先に書いてから戻ってくると、驚くほどすんなり決まります。最初の一行で止まっているなら、飛ばして真ん中から書き始めてください。
字数が足りない・多すぎる時の直し方
足りない時:あらすじを足さず「なぜ」を足す
字数が足りないと、つい本の説明を足したくなります。これは逆効果です。増やすべきは「なぜそう思ったのか」のほう。次の3つを順に聞いてみてください。それぞれ2〜3行ずつ増えます。
- 「どうしてそう思ったの?」——理由を1つ足す
- 「そのとき、どんな気持ちだった?」——気持ちを具体的な言葉にする(うれしい→ほっとした、など)
- 「自分だったらどうする?」——自分の話に引き寄せる
特に3つ目が効きます。本の話から自分の話に移った瞬間、書くことは一気に増えます。似た経験が思い出せない場合は、「もし自分がその場にいたら」で構いません。
多すぎる時:あらすじから削る
削る順番は決まっています。①あらすじ → ②登場人物の説明 → ③同じことを言っている文の順です。自分の気持ちや理由を書いた部分は、最後まで残してください。ここが感想文の中身だからです。
「せっかく書いたのに消すのはかわいそう」と思われるかもしれません。ただ、削られるのはたいてい本を読めば分かる部分で、その子にしか書けない部分は残ります。結果として、感想文は削るほど良くなります。
本選びで失敗しない3つの基準
まだ本が決まっていない場合は、ここから読んでください。本選びの段階で、書きやすさの半分が決まります。
- 読み切れる長さか:分厚い名作より、2〜3日で読み終わる本。読み終わらないと感想文は始まりません
- 登場人物が悩む場面があるか:迷う・ケンカする・失敗する場面がある本は、心が動きやすく書きやすい
- 子どもが自分で選んだか:大人が「これがいい」と決めた本は、感想が出てきにくいものです
課題図書でなければ、図鑑やノンフィクション、伝記でも問題ありません(学校の指示は要確認)。「知らなかったことを知って驚いた」も立派な心の動きです。物語が苦手な子には、こちらのほうが書きやすいこともあります。
保護者の関わり方:聞き役に徹する

いちばん効くのは、教えることではなく聞くことです。子どもは口では言えるのに、書こうとすると出てこない、ということがよくあります。だとすれば、大人がやることは1つ。口で言ってもらって、それを書き取ってあげることです。
| 場面 | おすすめの聞き方 | 避けたい言い方 |
|---|---|---|
| 場面が決まらない | 「イヤだったところは?」「えっ、と思ったところは?」 | 「感動したところは?」(答えを限定してしまう) |
| 気持ちが出てこない | 「そのとき、どんな顔になった?」 | 「もっとちゃんと考えて」 |
| 手が止まっている | 「今日はメモだけでいいよ」 | 「早く書きなさい」 |
| 書いた文が短い | 「どうしてそう思ったの?」 | 「これじゃ足りないよ」 |
書き取ってあげることに、後ろめたさを感じる必要はありません。考えたのはお子さんです。手を貸したのは、それを文字にする作業だけ。低学年ほど、この分担でうまくいきます。
提出前のチェックリストと注意点
- 学校・コンクールの指示(文字数、原稿用紙の枚数、題名や氏名の書き方)を満たしているか
- あらすじが全体の2割以内に収まっているか
- 「おもしろかった」「すごい」などの言葉に、理由が添えてあるか
- 本文を引用した場合、かぎかっこで囲み、どこからの引用か分かるようにしてあるか
- 結末を書いてしまっていないか(コンクールによっては減点対象)
2点、正直にお伝えしておきます。ひとつは、インターネット上の感想文や例文をそのまま写さないこと。この記事の例文も同じです。読書感想文は「その子が何を感じたか」を見るための宿題なので、写した時点で目的が失われてしまいます。
もうひとつは、生成AIに書かせないこと。私自身AIを使ったアプリを作っている立場ですが、この宿題に関してはAIに本文を書かせるべきではないと考えています。文章を作ること自体が目的ではなく、自分の気持ちを言葉にする練習が目的だからです。学校によっては明確に禁止されているので、指示も確認してください。手が止まって困っているなら、AIに書かせるのではなく「何から始めるか」を分けるほうに使うのが健全だと思います。
読書感想文の書き方に関するよくある質問
Q1. 書き出しの一行が決まりません
書き出しは最後に書いて構いません。「なか」の部分——心に残った場面と、その時の気持ち——を先に書いてから戻ると、すんなり決まります。それでも迷う場合は「本屋さんで表紙を見て気になったので読んでみました」のようなきっかけ型が無難です。凝った書き出しである必要はまったくありません。
Q2. あらすじはどのくらい書けばいいですか?
全体の2割以内、1,200字なら200〜250字が目安です。しかもそれは「本全体のあらすじ」ではなく、心に残った1つの場面の説明で構いません。読み手がその場面を理解できる最小限で十分です。3〜4行に収まれば理想的です。
Q3. 字数がどうしても足りません
あらすじを足すのではなく、「なぜそう思ったか」を足してください。「どうしてそう思ったの?」「自分だったらどうする?」の2つを聞くだけで、たいてい200〜300字は増えます。特に自分の似た経験を書き足すと、内容も同時に深まります。
Q4. 本の内容がつまらなかった、と言っています
そのまま書いて大丈夫です。「どこが、なぜ合わなかったか」「それでも分かったことは何か」を書けば、立派な読書感想文になります。むしろ正直に書いたほうが、その子らしい文章になります。ほめる文章を書くのが宿題ではありません。
Q5. 何日くらいかかりますか?
本を読み終えていれば、3日に分けるのがおすすめです。1日目にメモ(テンプレートの穴埋め)、2日目に下書き、3日目に清書。1日で全部やろうとすると、たいてい途中で力尽きます。逆に、この3つに分けてあれば1日分は30〜40分で終わります。暑さで集中が続かない時期でもあるので、「猛暑で集中力を守る科学と実践」も参考になるかもしれません。
Q6. 親がどこまで手伝っていいですか?
「聞く」「書き取る」までは手伝って問題ありません。考えるのはお子さんだからです。避けたいのは、大人が内容そのものを考えて言わせること。「どう思った?」と聞いて出てきた言葉を、そのまま書き取ってあげる。この分担が、低学年ほどうまくいきます。
まとめ:あらすじを減らし、「なぜ」を増やす
- 書けない原因は、あらすじを書こうとしているから。求められているのは心の動き
- まず心に残った場面を1つだけ決める。ここが決まれば半分終わり
- 構成ははじめ2割・なか7割・おわり1割。原稿用紙に先に線を引いておく
- 穴埋めテンプレートはメモ用紙で埋める。原稿用紙から始めない
- 書き出しは最後に書いてもいい。5つの型から選ぶだけ
- 字数が足りない時は、あらすじではなく「なぜ」と「自分だったら」を足す
- 大人の役目は教えることではなく、聞いて、書き取ってあげること
夏休みの宿題全体の進め方は「夏休みの宿題が終わらない時の進め方」、自由研究は「自由研究のテーマが決まらない|3つの質問で今日決める選び方」で扱っています。併せてどうぞ。
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「読書感想文を書く」と入れるだけ。AIが、今日できる最初の一歩まで自動で分けます。
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著者:藤岡 拓也(Takuya Fujioka)
AIタスク管理アプリ「するたす」開発者・運営者
タスク分解の”摩擦”をゼロにすることをテーマに、プロダクトを日々磨いています。

