会議が終わるたびに議事録を作るのは、地味に時間のかかる作業です。「録音はしたけれど文字起こしが面倒」「要点をまとめるのに30分かかる」── そんな悩みから、ChatGPT 議事録の作成を試したい方は増えています。
結論から言えば、ChatGPTで議事録は十分に作れます。ただし「録音データを丸ごと貼るだけ」では使い物にならず、文字起こし→整形→抽出という手順とプロンプト設計が鍵になります。
AIタスク管理アプリ「するたす」を開発・運営している藤岡です。前職では音声認識やマルチモーダルAIの研究に携わっていました。本記事では、ChatGPT 議事録の作り方を、文字起こしからアクションアイテム抽出まで5ステップと実用プロンプトで解説し、開発者の視点から限界と注意点も率直にお伝えします。
議事録AIツール全般の比較は「議事録AIとは|自動化ツール比較と活用ガイド|開発者解説」、会議そのものを効率化する方法は「会議 効率化の実践ガイド」、ChatGPTでのタスク分解は「ChatGPTでタスク分解する方法|開発者の5つのプロンプト例」を併せてご覧ください。
ChatGPTで議事録は作れるのか|基本と仕組み
ChatGPT 議事録の基本フロー
議事録の作成は、大きく分けて「文字起こし」と「整形・要約」の2段階で考えると理解しやすくなります。
- 音声を文字に起こす:録音データをテキスト化する(ChatGPT単体ではなく文字起こしツールを併用)
- テキストを議事録に整形する:起こした生テキストをChatGPTに渡し、読める議事録に整える
- 要点・決定事項・アクションアイテムを抽出する:議事録から「次に何をするか」を構造化する
多くの人が「ChatGPTに録音を渡せば議事録が出てくる」と期待しますが、実際は文字起こしと整形は別工程です。ここを分けて考えるのが、議事録をうまく作る第一歩です。
文字起こしと整形は「別の作業」
音声からテキストへの変換(文字起こし)は、音声認識の領域です。ChatGPTの音声入力機能や、専用の文字起こしツール(各種AI文字起こしサービス、スマホの音声入力など)でテキスト化します。その上で、起こした生テキストをChatGPTに渡して議事録に整形する、という流れになります。
文字起こしの生テキストは、言い淀みや重複、話者の混在で読みにくいものです。ChatGPTを使う価値は、この「人間が読むには煩雑な生テキストを、構造化された議事録に変換する」整形・要約の部分にあります。
ChatGPTが議事録で得意なこと・苦手なこと
元音声認識研究者の視点から、ChatGPTが議事録作成で得意なこと・苦手なことを整理すると次のようになります。
| 得意なこと | 苦手なこと |
|---|---|
| 冗長な発言の要約 | 固有名詞・専門用語の正確な聞き取り |
| 決定事項・論点の構造化 | 誰の発言かの厳密な特定(話者分離) |
| アクションアイテムの抽出 | 長時間会議の全文処理(トークン制限) |
| 箇条書き・表への整形 | 事実確認(言っていないことの補完リスク) |
つまり、ChatGPT 議事録は「整形・要約・抽出」では強力ですが、「正確な聞き取り」と「事実の担保」は人間の確認が必須です。この役割分担を理解しておくことが、後述する限界の章につながります。
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ChatGPTで議事録を作る5ステップ
ここからは、議事録を実際に作る5ステップを、具体的なプロンプトとともに解説します。
ステップ1:音声を文字起こしする
まず録音した会議音声をテキスト化します。ChatGPTアプリの音声入力、PCの音声認識、各種AI文字起こしサービスなど、手元のツールで構いません。この段階の出力は多少粗くても問題ありません。次のステップでChatGPTが整えます。
ステップ2:整形プロンプトで議事録化する
起こした生テキストを、ChatGPTに以下のプロンプトで渡します。
以下は会議の文字起こしです。読みやすい議事録に整形してください。言い淀みや重複は削除し、「議題」「議論の要点」「決定事項」「保留事項」の見出しで構造化してください。事実として確認できない内容は補完せず、不明な点は【要確認】と明記してください。
文字起こし:[ここに生テキストを貼る]
ポイント:「事実として確認できない内容は補完しない」「不明点は【要確認】と明記」を必ず入れること。これがないと、ChatGPTは話していないことをもっともらしく補完してしまうことがあります。
ステップ3:要約・決定事項を抽出する
整形した議事録から、さらに要点を絞り込みます。
上記の議事録から、「決定事項」と「次回までの宿題」だけを抽出し、それぞれ3行以内の箇条書きにまとめてください。
会議の参加者に共有する「サマリ版」として、この出力が役立ちます。長い議事録全文より、決定事項だけのサマリの方が読まれます。
ステップ4:アクションアイテムを抽出する
議事録作成の最大の価値は、会議を「やることリスト」に変換できる点です。
上記の議事録から、アクションアイテム(誰が・何を・いつまでに)を抽出し、表形式でまとめてください。担当者や期限が明示されていない項目は【担当者未定】【期限未定】と記載してください。
アクションアイテムの考え方そのものは「アクションアイテムとは?意味・由来・ToDoとの違いを徹底解説」で詳しく扱っています。会議の議事録を「次の行動」に変えることが、議事録を作る本来の目的です。
ステップ5:担当者・期限を構造化して共有する
抽出したアクションアイテムを、担当者ごとに整理して共有します。「誰が見ても自分のタスクが分かる」状態にすることで、議事録が”読まれて終わり”ではなく”実行される”ものになります。ここまでをセットで設計するのが、使える議事録の条件です。
ChatGPT 議事録で使える実用プロンプト集
そのままコピーして使える、ChatGPT 議事録向けのプロンプトをまとめます。[ ]の部分を自分の状況に置き換えてください。
議事録の体裁を社内フォーマットに合わせるプロンプト
以下の議事録を、次のフォーマットに整え直してください。【日時】【出席者】【議題】【決定事項】【アクションアイテム】【次回予定】。各項目は簡潔に、決定事項とアクションアイテムは箇条書きで。
議事録:[ここに貼る]
議論の対立点を整理するプロンプト
この議事録から、意見が分かれた論点を抽出し、「論点」「A案の主張」「B案の主張」「保留された理由」の形で整理してください。
注意:プロンプトに会議の生テキストを貼る前に、後述する機密情報の扱いを必ず確認してください。
📱 議事録のアクションアイテムを”実行”につなげる
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議事録の宿題を着手可能な粒度に分解
ChatGPT 議事録で抽出したアクションアイテムを、「次の一手」まで自動で分解。会議が”決めて終わり”にならず、実行に移せます。
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ChatGPT 議事録の3つの限界と注意点【開発者視点】
ChatGPT 議事録は便利ですが、開発者として正直にお伝えすべき限界が3つあります。これを知らずに使うと、トラブルにつながります。
限界1:機密情報・個人情報の扱い
最も重要な注意点です。会議の議事録には、未公開の経営情報、顧客情報、個人情報が含まれることが多々あります。これらをChatGPTに貼る前に、必ず会社の情報セキュリティ規定と、ChatGPTのデータ利用設定(学習オフ設定)を確認してください。固有名詞を伏字に置き換える、社外秘の数字は削るなどの前処理も有効です。
限界2:長い会議のトークン制限
1〜2時間の会議をすべて文字起こしすると、テキスト量がChatGPTの一度に処理できる上限(トークン制限)を超えることがあります。その場合は、議事録を時間帯やアジェンダごとに分割して、複数回に分けて処理するのが現実的です。
限界3:固有名詞・専門用語の誤認識と事実補完
文字起こしの段階で固有名詞や専門用語が誤変換されること、そしてChatGPTが「もっともらしいが言っていないこと」を補完してしまうことがあります。ChatGPTの出力は必ず人間が最終確認する前提で使ってください。特に決定事項と数字は、原音声や参加者の記憶と照合することが欠かせません。
ChatGPTを業務で使う際の限界全般は「ChatGPT タスク管理の3つの限界|AIアプリ開発者が解説」でも扱っています。
議事録から実行につなげるコツ
議事録を作る本当の目的は、きれいな議事録を残すことではなく、会議で決めたことを実行に移すことです。そのためのコツが2つあります。
1つ目は、アクションアイテムを「担当者・期限・具体的な最初の一手」まで落とすこと。「企画を進める」では動けません。「企画書のたたき台を金曜までに作る」まで具体化します。2つ目は、抽出したアクションアイテムを各自のタスク管理に取り込むこと。議事録に書いただけでは実行されません。アクションアイテムを実行可能な粒度に割る方法は「タスク分解の基本:今日から動ける3ステップ」を参考にしてください。
FAQ|ChatGPT 議事録のよくある質問
Q1. ChatGPTの無料版でも議事録は作れますか?
作れます。整形・要約・抽出は無料版でも十分機能します。ただし、長い会議のテキストを扱う場合は、処理できる文章量の多い有料版の方が安定します。長時間会議が多いなら有料版を検討する価値があります。
Q2. ChatGPTに会議の録音を直接渡せますか?
音声入力に対応した環境では音声から扱えますが、長時間の録音ファイルをそのまま処理するのは不向きです。一度文字起こししてからテキストを渡す方が、安定して質の高い議事録になります。
Q3. ChatGPT 議事録に機密情報を入れても大丈夫ですか?
会社の情報セキュリティ規定とChatGPTのデータ利用設定を必ず確認してください。学習オフ設定にする、固有名詞や社外秘の数字を伏字にするなどの前処理が安全です。判断に迷う場合は、機密情報を含む議事録はChatGPTに渡さないのが無難です。
Q4. 専用の議事録AIツールとChatGPT、どちらがいいですか?
文字起こしから話者分離まで自動化したいなら専用ツール、整形や抽出を柔軟にカスタマイズしたいならChatGPTが向いています。両者の比較は議事録AIの解説記事で詳しく扱っています。手元の会議の頻度と求める精度で選ぶのがよいでしょう。
Q5. ChatGPT 議事録の精度を上げるコツは?
文字起こしの質を上げること(クリアな録音・固有名詞の事前共有)と、プロンプトで出力フォーマットを具体的に指定することの2点です。特に「事実を補完しない」「不明点は【要確認】と書く」という指示が、誤った議事録を防ぐ鍵になります。
まとめ|ChatGPT 議事録は「整形・抽出」で強く、最終確認は人間が担う
ChatGPT 議事録の作り方を整理すると、本質はシンプルです。
- ChatGPT 議事録は「文字起こし」と「整形・要約・抽出」の2段階で考える
- 作る手順は「文字起こし→整形→要約→アクションアイテム抽出→構造化」の5ステップ
- プロンプトには「事実を補完しない」「不明点は【要確認】」を必ず入れる
- 限界は「機密情報の扱い」「トークン制限」「誤認識・事実補完」の3つ。最終確認は人間が担う
- 議事録の目的は実行。アクションアイテムを具体的な最初の一手まで落とす
ChatGPT 議事録は、整形・要約・抽出の手間を大きく減らしてくれます。ただし、作った議事録を”実行”につなげるには、アクションアイテムを実行可能な粒度まで分解し、各自のタスク管理に取り込むことが欠かせません。やる気ではなく仕組みで、会議を行動に変えていきましょう。
関連記事として、議事録AIツールの比較は「議事録AIとは|自動化ツール比較と活用ガイド|開発者解説」、会議効率化は「会議 効率化の実践ガイド」、ChatGPTでのタスク分解は「ChatGPTでタスク分解する方法|開発者の5つのプロンプト例」を併せてどうぞ。
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ChatGPT 議事録で抽出したアクションアイテムを、
着手可能な「最初の一手」まで分解します。
著者:藤岡 拓也(Takuya Fujioka)
AIタスク管理アプリ「するたす」開発者・運営者
タスク分解の”摩擦”をゼロにすることをテーマに、プロダクトを日々磨いています。